今までお世話した方の中で最短の3ヶ月でご成婚された方のエピソードです。

2017/12/19

その方はその年の8月の最後の日曜日に相談室に予約無しで来られました。風貌が余りにもひどかったものですので、書類だけ渡して引き取ってもらいました。何軒か他の相談室に行ったが全部断られてしまい、倉持さんの所しかないという気持ちで来たとおっしやっていました。それから、一か月が過ぎたころ電話がありました。ぜひ、世話してもらいたいということでした。ここまで強い気持ちでいるので、無下に断るのも可哀想だと思い引き受けることにしました。渡した書類の身上書を見て驚きました。東武バスの運転手で結構年収もよかったのです。ただ、話し方から、身だしなみまでセンスがありません。一番驚いたのは入会金をもらう時ポケットから手づかみで渡された時です。お札がしわくちゃで数えるのが大変でした。
■その方の身上書、年齢50歳、身長160センチ、学歴高卒、婚歴初婚、同居家族父(但し入院中家に帰ることはない)、
カウンセリングをしている時の表情が、黙っている時は顔が怖いのです。熊みたいなイメージでした。ただ、笑った時の表情は穏やかで何とも言えないふくよかな表情になるのです。それと素直な性格でお人好しです。頼まれたら嫌だと断れない性分です。部落の集会の旅行の時はバスの運転手をよく任せられたと得意そうに話していました。一通り手続きを終えて結婚が他人事のような感じで帰られました。
さあ、これからが大変だと、この方にお見合いが入るのだろか、また苦労の種が増えたと気持ちが暗くなったのを覚えています。が、これからのこの方の人生が語るに付きない位衝動的でした。会員登録が終えて二週間もしないうちにこの方に先方から、お見合いの申し込みが来たのです。どうせ年上のしわくちゃなおばさんだろうと思ってみましたら、30代後半の美人の方からの申し込みでした。お二人女の子がおりまして、上の子は保育園、下の子はこれから保育園のようでした。二人の子がいてはお見合いを受けてはくれないだろうと、おっかなびっくり話をしました。そしたら、気持ちよくお受けしますという返事を貰いました。泣かせるようなことも話してました。他人の子でも愛情を込めて育ててあげれば感謝もされるだろうし、この子たちをここまで育ててくれた彼女に対して感謝の言葉を述べれば、彼女の苦労も少しは報われるかもしれません。喜んでお会いさせて下さいと、伝えて下さいと言われた時は、少し自分が恥ずかしくなりました。色眼鏡的に彼を見ていたのです。彼の持っている本質を見ていなかった自分が嫌になりました。
ここからは奇跡の連続です。お見合いの日程と場所を決めて、当日がきました。お見合いが終了して彼から報告が来ました。話しがうまくいかず、弾まなかったのではと勝手に思い込んでいました。彼からの第一声が「倉持さん、俺あ、生まれて初めてこんな美人さんを見た。」とこの言葉をお会いした時にすぐに伝えたものですから、彼女の心にぐさっとささりました。直ぐに交際になりました。
そして、二回目のデートの時に彼女が彼がお酒が好きだというのを聞いたものですから、お漬物を持ってきてくれたそうです。家に帰ってからつまみにお漬物を食べた時に美味しかったそうです。その場でそのことを「俺ぁこんなうめえお漬物を食べたのは初めてだ」と伝えたそうです。そんな、彼の素直で純真な気持ちに惹かれたのでしょう。三度目のデートで二人の気持ちは固まったようです。11月の下旬にあった時にプロポーズをして受けてくれたそうです。
そして、二人の子供さんとの面会の時が来ました。すごく緊張したそうです。ここで、彼女の素晴らしさが凄いです。二人の子供さんに会った時に「お父さん」と呼ぶように教えたそうです。彼はその言葉を聞いた時にこの二人の子を自分の子として育てるという決意をしたそうです。
12月上旬に成婚料を持ってきた時に「家族が増えるということはこんなに嬉しいことはありません」と話してました。クリスマスの日に子供たちにプレゼントを買ってあげるんだと話した時の表情は父親の顔でした。これで、この4人はうまくいくと確信をしました。
年が明けて年始の挨拶のときに少し愚痴めいたことを言っていました。酒は決められた量しか飲めないし、小遣いも決めた金額しかもらえないし、門限も厳しいし、生命保険も入れられたし、今まで野放し状態の生活に終止符を打たれたことの戸惑いがあったようです。「じゃあ、結婚しなかった方が良かった」と聞いたら、「いーえ、結婚生活は充実感があるし、子供たちといる時間が楽しいし、こんなに素晴らしいことはないです」と言われた時は本当に結婚させて良かったと強く思いました。